top of page

長引く捻挫(ねんざ)


 

歩行中にうっかり滑ったり、階段を踏み外したり、スポーツ競技中に足首を痛めてしまう経験はかなりの人にあると思います。他にも、倒れた時に手を床や地面に強く突いて手首に強い痛みを起こしたり、車の急ブレーキで首が強く揺り動かされて頸椎の関節に痛みが出たりすることがあります。

これら通常とは異なる強く急激な関節の動きによって激しい痛みが起きる状態を”捻挫”と呼んでいます。

捻(ひね)って挫(くじ)””という、実にありのままの障害名が付けられています。

 

どの関節も動く方向と角度、範囲がおおよそ決まっています。私達はそれを逸脱しないように関節を動かして通常の活動を行っています。そこに強い外力が加わったり、その関節にそぐわない方向や角度に圧力やひ引き延ばす力が働くと捻挫が発症します。関節の周りを取り巻いている軟骨、関節を包む関節包、関節の動きを適正に制限している靱帯、関節を動かす筋肉とそれに続く腱などの組織が引き延ばされたり損傷したりすることで、痛みに加え、強い炎症や内出血などが起きるわけです。

 

捻挫が最も起こりやすい足首の関節を例にとりましょう。膝から下を垂らして座ると、足首は爪先立ちの形に垂れ、踵(かかと)から小指にかけての外側が床に接し、踵から親指にかけての内側が浮いて左右の足裏が向き合うような姿位をとります。これが足首の自然な形です。歩く、走る、飛ぶなど複雑で多彩、休むことなく動く足首の関節には強い力が常にかかり、突如、可動範囲を大きく超える動きを起こした時に捻挫となるわけです。


なかでも内側に捻ることで起きる捻挫が最も多く、この時には外くるぶし周辺の靱帯や足関節に関係する筋肉が引き延ばされ、炎症や内出血によって組織は腫れて膨らみ、歩行が難しい状態となります。強く引き延ばされた靱帯は元の長さには戻りにくく、その結果、関節の動く角度が広がって捻挫を繰り返したり、炎症がなかなか引かずに症状が長引くことにもつながります。

 

三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療は、捻挫に大変効果的です。急性の場合、接骨院や整形外科での治療と同時並行で鍼とマッサージを行うことで、強い炎症を軽くし、それに伴うリンパの吸収の促進をはかって腫れを引かせ、鎮痛させることができます。捻挫が起きた際は、躊躇せず、早期にご来院されることをお勧めします。また、頸椎捻挫などの診断を受けていて、長引く痛みに苦しんでいらっしゃる方も、適切な治療により痛みの軽減をはかることができます。どうぞご相談ください。       <第32号>

bottom of page