背格好(せかっこう)は痛みを語る
- yshibata63
- 2024年2月29日
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更新日:2024年4月9日

背中の見た目、後ろ姿を作る中心になっているのは背骨(脊柱(せきちゅう))です。
脊柱は七つの頸椎、12の胸椎、五つの腰椎、五つの仙椎、3~6個の尾椎(びつい)、合計32~35個の骨が上下に関節を作りながら重なり合って一本の柱になっています。
この柱は真っ直ぐではなく、頸椎は前寄り、胸椎は後寄り、腰椎は前寄り、仙椎は後寄り、尾椎は前寄りと交互に位置し、前後に緩やかなカーブを描いています。加えて、肩を作る肩甲骨が肋骨の後に重なり、脊柱の両脇には縦に走る脊柱起立筋やその他の多くの筋肉の盛り上がりが、また皮下脂肪の付き方やその量などが背中を形作ります。なお、この脊柱のカーブは”生理的湾曲”と呼ばれ、二足歩行を行うために歩いたり飛んだりする足からの刺激が直接的に頭に伝わらないためなどの意義があります。
脊柱は椎骨一つ一つの間の関節によって前後左右に動きます。長年の歩き方や座り方の姿勢の週間や癖、視力や聴力の左右差による一方向への首の傾きなどで生理的湾曲の形が崩れ、椎骨の左右移動(側弯)や回旋が生じます。中学生から高校生前半にかけて左右の成長バランスの不調和で発生する強い側湾(特発性側弯症)や、椎骨間の前側にある椎間板の縮小による高齢者に発生する急激な猫背、その他にも椎骨の変位を伴う疾患には多くのものがあります。脊柱の湾曲や椎骨の前後左右への移動が大きくなると、椎骨に付いている多くの筋肉が引き延ばされたり収縮してその筋肉や椎骨に痛みが出てきます。
背中、後ろ姿の見た目は、良い姿勢の人の表現として”矍鑠(かくしゃく)とした背中”、悪い姿勢の表現として”猫背”、”反り腰”、”スマホっ首”、また心の内面の表現として、寂しさや元気のない姿として映し出される部位にもなっています。いずれの姿勢においても、首・背中・腰のどこかの部分に負担が加わって様々な性質の痛みを発生し、多くの人がその苦痛に悩まされています。
三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療では、見た目の背中の形から、おおよその病状を把握したうえで、関係していると思われる一つ一つの椎骨とそこに付いている筋肉を細かく触察し、痛みや筋肉の緊張を確認して治療に臨みます。出過ぎた部位を押さえ、左右差を無くするよう調整することで、見た目の良い背中に変わり、痛みも軽減していきます。 <第18号>