しびれるなあ!
強い感動が呼び起こされる映画や音楽。心を揺り動かす人のしぐさや言葉。
体に経験として感じる”しびれ”という感覚は、なぜか気持ちを高ぶらせる“素晴らしい”という感情として表現されます。
けれども、”しびれを切らす”というのは、我慢できない、待ち切れないなど、どうにもならない気持ちが表されています。実際に身体に及ぼされる“しびれ”という感覚は、いずれも心に感動も喜びも抱かしてはくれず、不安と苦しみを与える症状であることは誰しもが知っています。
”しびれている”というのは触れられた感覚の他に、つねったりぶつかったりした時の痛みなどの感覚が弱かったり無かったりする場合や、ビリビリ・ピリピリなどといった痛みが加わった弱い感覚を感じている場合、だるさや違和感を感じて正常な感覚が得られない場合、筋肉を動かそうとしても力が入らず運動がうまく出来ない場合などの症状を指し、人それぞれの表現で訴えてきます。
正座やあぐらなど、同じ姿位で座り続けた結果、足がしびれてしまう経験は誰にでもあり、この時に感じる様々な感覚を”しびれ”という概念として捕らえているのです。
医学上では、これらはすべて神経の障害によって発生するもので、筋肉の動きがうまくいかない場合を運動麻痺(まひ)と言い、その他の感覚の障害を感覚消失、感覚鈍麻(どんま)、感覚異常などとして区別し、その種類は多様です。また、原因が脳や脊髄にあるのか、手や足の付け根や末端にあるのかの大別も必要です。
三療(鍼、あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療でしびれを治したいという人は多くいらっしゃいます。
その代表的な疾患に脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、座骨神経痛、頸肩腕症候群があり、これらはしびれ感覚と共に痛みを伴っています。また、手足の指先や身体のごく一部分だけにしびれを感じて困っている人もいます。
これらは神経や血管の通り道にある骨・筋肉などの組織に強く圧迫されるために、その部分より末端でしびれが起きているものと判断し、その場所を発見して治療を行います。
しびれを除去できるのは病状や個人差が大きいため、短期間で治せるものばかりではありませんが、神経の圧迫を取り除くことが出来て血管に十分な血液が環流するようになれば、次第にしびれも解消していくものと思われます。どうぞお気軽にご相談ください。
<第30号>