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痛みに苦しむ五十肩の正体 ~後編~

  • yshibata63
  • 1月20日
  • 読了時間: 3分

五十肩あるいは四十肩、正式名称は「肩関節周囲炎」についての内容の後編です。 


【症状】

ある日、何気ない肩の動きの際にこれまでと違う小さな痛みを感じた後、日に日にその痛みが大きくなり、次第に様々な方向の動きに対しても痛みが生じるようになります。

日常生活では衣服の脱ぎ着、髪の手入れや洗髪、エプロンの後紐結び、吊革につかまる、長時間のパソコンのキー操作やマウスの使用等、様々な動きや作業に制限がかかり出来なくなる、あるいは出来にくくなります。

 

人それぞれに現れる症状は様々です。痛みで運動や動作が徐々に出来なくなると、その可動域は狭まります。睡眠時には、痛みのため寝やすい体位が取りにくくなり“夜間痛”と呼ばれる自発的な痛みも発症してきます。

痛みや運動制限が長期に渡ると、肩凝りや頸の痛み、背部痛や腰痛などが生じて来る他、精神的にもダメージを感じて日常生活に影響が出てくることもあります。 


【病状の経過】

上に記したように、症状は1~2か月程度の期間で急速に進み、その後数か月から長い人では2年余りの長期間に渡って症状に苦しむ状態が一進一退を繰り返しながら続きます。ところがある時期から潮が引くように痛みが軽快し始め、運動範囲も拡大してきます。通常は片側のみが罹患しますが、片手だけでは終わらずもう一方の手に発症することもあります。 


【三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)治療と効果の見通し】

本症はその病態も複雑なうえ、症状も多彩で長期間続きます。短期間で早期に症状を解消したいところではありますが、正直なところ、この疾患だけは残念ながらこれを適える確率が低いと言わざるを得ません。

 

治療直後は痛みが減り可動範囲も広がりますが、数日のうちに元の状態に戻ったり、刺激量が多すぎると一時的な悪化を招いてしまうこともあります。また肩関節を動かす度に痛みが出ることへの恐怖心が募ると、治療の効果に歯止めがかかってしまいます。とはいえ、ある程度は痛みに耐えながら定期的に治療に専念する患者さんは間違いなく痛みの期間が短くなり、正常な日常生活への復帰も早まります。痛みはいずれ消失しますが、運動制限を残したまま治療を終えてしまっている人が多いように思います。

 

当院では、まずは痛みのないルートの動きをスピーディーに積極的に行ってもらうことでその他の痛みの解消を進め、動く範囲を拡げていくように努めて運動制限が残らないよう取り組んでいます。今後も治療方法を模索しながら本症と向き合ってまいります。 

開院500日。コラム50号まで書いてきました。読者の方々のお役に立つ内容になっていれば幸いです。

第50号>

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