気持ちに翻弄される心の臓(しんのぞう)
- yshibata63
- 2024年3月20日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年4月9日

血液を滞りなく循環させてくれているのが心臓です。
心臓は強い筋肉がリズミカルに収縮して動き、血液を送り出しながら吸引する仕組みで働いています。
正常に働いている時には、誰でもその存在は意識に上らないものですが、大きな動きの変化や不具合が起きると俄か(にわか)にその存在を意識するようになります。
心臓は平常時(体を横たえている時や座っている時)には緩やかに動き、運動を始めると早くなり、激しくなれば鼓動として感じるようになります。この動きを早めるのが交感神経、遅くするのが副交感神経で、この綱引きによって速さが決まります。綱引きが引き分けている時が最も良い状態で、成人では毎分72回(10秒当たり12回)前後、乳幼児では毎分120回(10秒当たり10回)前後の動きとなり、手首の上の親指側にある動脈に触れることで脈拍として数えることができます。
落ち着いている時のご自分やお子さんの脈拍数を知っておくことも有用で、体調の変化を知るのに役立ちます。
一方、心臓の動きの変化は精神状態によって目まぐるしく変わります。このことは、日常生活の中で実感していると思いますし、感情の動きと合わせて”ドキドキ”、”バクバク”、”胸キュンキュン”などと表現されることもあります。現代では精神・感情を司る部位が「脳」であることは誰もが知っていますが、古来では東西の医学共にその存在の場は心臓にあるとされていました。心の動き、感情の変化で心臓の動きと血液の流れが変わることから当然のごとくそのように考えられたわけです。
心臓は東洋医学では、”心の臓(しんのぞう)”として位置づけられ、肝臓や腎臓などその他の五臓(ごぞう)六腑(ろっぷ)全てに影響を与えるとされています。人には”喜ぶ・怒る・憂う・思う・悲しむ・恐れる・驚く”の七つの感情があり、これらの乱れが心の臓の動きに変化を生じ、それに伴って血液(血)の流れに不調和が生じるとされています。
日常生活の中で、強い緊張感、過度な興奮、極度な不安などの精神状態が反復したり続いたりすると、心臓は拍動の速度を増し、加えて不整脈と呼ばれるリズムの不調和を生じて、病的な状態になっていきます。この結果、左側の背中、左側の腋の下から腕にかけての部位に痛みや筋肉の緊張、凝りが生じてきます。三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療では、これらの症状を見つけ出し、合わせて関連する東洋医学的に効果のあるポイントを治療点として用いることで、心の臓の落ち着きを取り戻していきます。
<第20号>