厚生労働省の発表によると、我国の昨年の平均寿命は、女性87.14歳(39年連続世界第一位)、男性81.09歳(世界第5位、一昨年は4位)、100歳以上は92,139人(女性81,589人、男性10,550人)という長寿の国に生活しています。一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できるという状態の”健康寿命”は、女性75.4歳、男性72.7歳です。
端的にいうと、亡くなるまでの晩年、女性は11年余り、男性は8年余りをある意味健康でない状態で過ごすという理解になります。
健康とは、”身体的、精神的、社会的に良好な状態”をいうとされています。身体は、二十歳頃までで成長を遂げ、それ以後は緩やかに各部の機能が低下していき60歳以降はその度合いを増して老化が進み死に至ります。
新生児・乳児・3歳頃までにかけては、月齢単位で成長の過程があり、その後も特に身長などはその伸びがわかる形で健康状態に現れます。それ以後は病気を繰り返しながらも健康状態を保ちながら生き、60代頃からは長期の病気を患う人が増えてきます。病気に罹ると健康に復することが難しくなり、健康寿命を境に年齢が増すごとに健康な人とそうでない人との差が大きくなっていくのです。
上に書いたことは、あくまで平均論、一般論ですが、個人個人それぞれの年の取り方、病気との接し方があり、年齢、年代にふさわしい健康の捕らえ方があります。10代~40代頃までは、ほとんどの方が元気で快活、活発に生きていけます。50代を過ぎるとやや無理がきかなくなり、それを押して活動すると体に支障をきたします。
体力、精神力、社会性を養うことが、健康の維持、充実につながります。当院には90歳になる複数名の方が片道30分を歩いて来院されています。痛みを取りたい、元気に日常生活を送りたいという充実した意欲が満々に溢れています。映画”九十歳。何がめでたい”の主演、草笛光子さんがあれだけの演技ができるのは極めて高い健康度の充実にほかなりません。
一方、健康の要素が充実しているはずの10代~40代の人達の中にゲーム依存や人間関係などに悩み、心身に強い不調を抱いてしまっている人が多くいるようです。
当院の三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)では、病的な部位を確認して説明することは当然ですが、合わせて健康で機能が十分に発揮できる部位についても明らかにしています。そうすることで患者さんの自信を取り戻し、生きる意欲を高める治療を進めています。 <第33号>