top of page

寝返りは素早く、立ち座りはゆっくり


6月は湿度が高く、温度や気圧の変化が大きいことから、“体調が優れない月”と感じる人が多いようです。

眩暈(めまい)や肩凝り、憂鬱状態など、心身にいろいろな不調和が強くなったり一時的に生じたりします。

これらの症状は、気象に関わる温度・湿度・気圧などの変化に自立神経(交感神経と副交感神経)のバランスの調整が追いつかないために生じるもので、”気象病”とも呼ばれます。

 

私たちが体を動かす時、その多くはできるだけ素早く行うことが優先されて過ごしています。

スポーツ競技では、すべてが動きの速さで順位が決まります。日常生活では、その仕事量を時間の中でこなすために出来るだけ早く体を動かすことが求められます。


しかしこの6月の気象環境の悪い時期、特に体の動きを早くすることばかりがいいとは限りません。中でも、体を横たえている状態、座っている状態、立っている状態それぞれから次の体制に移る時、その速さが自立神経の活動と大きく関わります。自律神経は血圧・心拍数・呼吸などに作用し、交感神経はこれらを増し、副交感神経はこれらを減じます。


体を横たえている状態から一気に立った場合、血圧は10~25mmhg、心拍数は1分間当たり10~15回、呼吸数もそれぞれ増えます。健康な人はこの動きに即座に適応して何の症状も出ません。貧血をお持ちの方で”立ちくらみ”という症状を経験した方は多いでしょう。これに類似した症状は何らかの病気をお持ちの高齢の方、軽い熱中症状態や精神的不安などを抱いている人では、起こりやすくなります。

 

①   起床時は飛び起きず、ゆっくり起きましょう。お風呂の湯船からはゆっくりと立ち上がりましょう。

②   お腹いっぱいになった食後では、深呼吸をしてからゆっくり立ち上がって次の活動に移りましょう。

③   物を拾ったり、草取りなどの農作業の際は、中腰で止めず、ゆっくりしっかりとしゃがみ込みましょう。

 

これらに気を付けることで、自立神経の急激な変化を予防し、体に負担のない状態を作ることができます。

 

一方、自律神経の変動が少ない”寝返り”は、できるだけ素早く行うことを推奨します。

(ただし持病にめまいがある方は除きます)

 

体を横たえている状態では、下半身が重く、特に腰を使って骨盤を回転させることが重要な動作です。

これが素早く行える人は、日常生活の動きも円滑です。


体調の良さや健康年齢のバロメーターにもなると考えています。体のどこかに痛みがある、体重が重い人は、寝返りの楽な仕方を工夫し、できるだけ素早く行うよう意識を持って実践してみてください。

                                        <第29号>

bottom of page