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"凝(こ)り"はどこからくる?


あん摩・マッサージ・指圧の違い

体に「凝り」を感じるのはどこなのでしょう。「全身が凝っていてとてもしんどい」という人も中にはいますが、多くの人は「肩が凝る」、その次が「首や背中が凝る」と感じているようです。「手が凝る」とか「お腹が凝る」などという表現はほとんどしません。

「凝る」という感覚はどうやら肩・首・背中に集中しているようです。

 

肩は手(上肢)をぶら下げ、上からは頭の重さを支えています。肩は手を自由に大きく動かすために関節がゆるく、僧帽筋(ソウボウキン)という筋肉が首から肩の上、背中までを覆っており、首から肩、背中にかけての動きの中心を担っています。緊張している人の肩を叩いて「力を抜いて」というと肩の位置が下がります。

 

歩き方がぎこちなく、手の振りも少なくて首が前かがみになっている人にも同じように声をかけると、肩の動きがスムーズになり首も前を向きます。これらは僧帽筋をはじめとする肩や首、背中に関わる幾つかの筋肉が収縮して働きにくくなっている状態から解放し、楽にさせてあげたことによります。

 

凝りを感じている時、筋肉は収縮しています。それが長くあるいは反復的に続いていることによって凝り感が出てきます。凝りは同じ筋肉の使い過ぎ、寒さを感じる時、内臓の疾患からの波及、精神的な緊張が強く続いた場合などで生じます。このうち精神的緊張に伴う凝りは、自律神経のうちの交感神経が高まることで筋肉の動きを抑制し、周辺の血管への血液の循環を悪くさせることで生じるとされています。

 

ではなぜこのような筋肉の収縮によって凝りが起こるのでしょうか。特に精神的な緊張状態がなぜ凝りを生むのでしょうか。そして肩とその周辺に集中して感じるのでしょうか。実はこのことに明快な答えは出ていません。西洋医学では「肩凝り」という病名はほぼ付きません。

肩凝りは「不定愁訴(はっきりと定まらない症状)」の一つとして取り扱われるにすぎません。

 

三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療では、全身に発生する凝りが現れている部分を「硬結(こうけつ)」、凝りが長く続いて痛みを発しているものを「圧痛(あっつう)」と呼び、治療点として治療を行います。凝りがどこに発生するか、それがどのように病状に影響しているかを適切に捉えることができてこそ、望ましい治療効果を得ることができるのです。        <第10号>

                                            

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