top of page

伸ばして開いて美しい指に


あん摩・マッサージ・指圧の違い

掌(てのひら)を上に向けて指を伸ばした時、指先まで真っ直ぐに伸びていますか?

指が曲がって水がすくえるようなお椀状の形になってはいないでしょうか?

 

人の手首から先のいわゆる"手"は強い力を有すると共に繊細で細かい動きが可能です。

人間は、親指を他の指と向かい合わせることが出来る唯一の動物であり、道具を使用した高度な生活を営むことに長けています。これを可能にしているのは手の骨と筋肉が作る解剖学的な構造にあります。

 

手は、片側27個の骨が“1:1”または“1:多数”の間で関節を作り、名前の付いた25個の筋肉が縦横に走って骨同士をつないでいます。関節は様々な向きに動く形状になっていて、その関節を動かす筋肉は複数個が協調し合って“つまむ、握る、開く”など目的に応じた多彩な働きが出来るようになっているのです。

中でも手は“握る”役目が最も重視されていて、掌の中で多くの筋肉が絡み合い、握れば握るほど指先を手前に引き隣の指同士が接近接着して強い力を発揮します。しっかりと包丁を握って野菜を切る、重い荷物を指に引っかけて持つ、鉄棒に全体重を預けてぶら下がるなど、その力の強さが必要とされ、“握力”という尺度で計られる対象にもなります。

 

一方、これに対して指を伸ばす時は掌の中で絡み合っている筋肉が緩み、指はしっかり伸び、指同士が大きく離れて開きます。ただこの力はさほど強くなく、握る方向への強さに比べると完全に劣ります。

日常生活を送るうえで手にはかなりの柔軟性が求められます。しかし使い過ぎたり年齢を重ねることで、指は力強く握る方向と比較的弱い伸ばす方向との差により、次第に伸びと開きが悪くなってしまいます。

腱鞘炎による炎症、変形性関節症やリウマチなどの関節に関わる疾患に伴って痛みが発生すればさらに拍車がかかり、手のひらでたくさんの水がすくえるような形になってしまいますね。

 

手は人の目に晒される場所です。自然体では掌が下を向くため手の甲がクローズアップされ、ネイルケアなどで美しさが表現されますが、手のひら側はこの分野では劣勢です。しかし手の本来の機能を維持するためには、指を真っ直ぐに伸ばし、ほどよく開いて美しくあることが必須です。

 

指は少々痛くても一本一本を手の甲側に伸ばし、中指を中心に親指側、小指側に向けて拡げ、一つ一つの関節の可動域を正常に保ち、滑らかに動くようにしておくことはとても大切です。


指は年齢を重ねても他の身体の部位に比べて柔軟性が保たれていますので、上記のケアを継続して行うことで曲がった指も美しく伸びていきます。ぜひ実践してみてください。 <第17号>

                                            

bottom of page