だるい・重い・だる重~い
- yshibata63
- 2024年11月30日
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人が感じる感覚には様々なものがあり、動物として生きるための重要な役割を果たしています。
主な感覚として、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、並行覚、皮膚感覚(触覚・痛覚・圧覚・温覚)、深部感覚(関節の運動感覚・位置感覚・振動覚)、内臓感覚などがあります。
これらはそれぞれ個別に感覚を受け取る受容器と呼ばれる装置があり、その感覚を伝えるための神経繊維が脊髄や脳まで長く伸び、そこにある中枢に達して感覚を感じているのです。
それぞれの感覚はそれを受け取った時の強さや頻度によって様々に違う感じ方になったり、同時に複数の受容器が反応することによって独特な感覚の感じ方になるなどする特徴があります。
例えば痛みの感覚は“チクチク”、“ズキズキ” “ピリピリ”など異なる感じ方の表現が人それぞれになされます。
一方、“くすぐったい”という感覚はこれを個別に伝える神経はなく、その感覚の正体は謎の部分もあります。
“くすぐったい”という感覚に並んで、その正体が謎である感覚の一つに、タイトルで掲げた“だるい”という感覚があります。医学的には「倦怠感」とも表現されますが、その感覚は様々です。だるいという感覚には、全身を対象として表現される場合と、体の一部分を指して表現される両者があります。
“だるい”という感覚にも、“重だるい”、“だる重い”、“イタだるい”など、人によって感じ方や言い回しも異なります。また、気持ち的にだるい時には、”気だるい(けだるい)”という表現も使われます。
だるさは、全身的には発熱を伴う感染症発生時や収束時、内臓性の慢性的な疾患を抱えている場合に加え、日常的には疲れの蓄積、睡眠不足、精神的な負担などで生じ、部分的には上腕部、腰部、大腿部、ふくらはぎなど、比較的大きな筋肉がある部分に生じます。
だるさがあると、体の動きが悪くなり、座ったり体を横たえたりしたくなるものです。
三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療でだるさの改善に最も有効だと考えられるのは、だるさに痛みを伴って感じている症状です。治療によってその部分の痛みが解消すれば、だるさも消えるケースは多く見受けられます。
しかし、だるさだけを感じている症状に対して筋肉の緊張を緩め、循環を活発にすることが有効ではありますが、実感としてはなかなか解消に結び付きません。根気よく回数を重ねて治療することが必要です。全身のだるさについては、生活リズム、睡眠状態、運動習慣や食生活の状況、精神的ストレスの強度などを聴取したうえで、全身をくまなく観察して三療治療のアプローチを行うと共に、だるさにつながる望ましくない生活環境改善のアドバイスをすることを実践しています。 <第45号>