外反母趾と内反小趾
- yshibata63
- 2024年10月10日
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足先が細く、踵の高いハイヒールで歩く女性が魅力的と、もてはやされた1950年代~1990年代。
これにあやかって長期間、このタイプの靴を履いて過ごしたために、かなりの数の女性が足指の不具合を発症することとなりました。足先は内外から押し付けられると同時に踵が高いことにより、体重がつま先側に向かい負荷が加わります。窮屈さと痛みがあっても我慢して“見た目の美しさ”を優先していたのではないでしょうか。
長期間履き続けることにより、親指側は第2指(手の人差し指に相当する指)に向かって外側に曲がり、小指側は第4指(手の薬指に相当する指)に向かって内側に曲がっていきます。その結果として生じた指の形を外反母趾(がいはんぼし)、内反小趾(ないはんしょうし)と呼びます。いずれも指の付け根の関節(中足指節関節といいます)が曲がり、外反母趾では内側に、内反小趾では外側に関節部の骨が飛び出して履く靴に当たります。
曲がるということはそれ自体、正常とは違う関節の変形を意味します。変形しているだけなら問題はないかもしれませんが、関節内外に炎症が生じ腫れと痛みで苦痛を感じている人が多いため話題に上ってくるのです。
なお、内反小趾は、外反拇趾に比べ指が小さいことから、痛みの感じ方が少なく馴染みも薄いのですが、症状があれば外反母趾と同様に影響が出ますので、優劣を付けず認知しておいていただきたいと思います。
三療(鍼・あん摩・指圧・マッサージ・灸)の治療では、関節の変形そのものに直接アプローチして治すことはできませんが、関節の痛みや動き、変形の状態を細かく触知しながら圧迫や関節運動を的確に行うことで結果的に成果を上げています。対症療法として変形の角度を元に戻すために指と指の間に挟むグッズ等がありますが、皆さんあまり、既製品にはしっくりきていないようです。当院ではスポンジや綿を自分の指に合うようにうまく形を作って挟むことをお勧めしています。
鍼治療は、関節周辺の筋肉や組織に行うと効果がありますが、この部分は大変痛みに鋭敏なため、10人のうち一人か二人にしか受け入れられず、治療の選択肢に挙げにくいのが現状です。外反母趾・内反小趾の痛みが長引くと、同じ側の下腿・大腿・腰の筋肉、膝関節・股関節の痛みにつながり、さらにはこれをかばうために反対側の同じ部位にも症状が出て歩行バランスを狂わせるまでに至ります。
これらの症状に対して三療治療は効果的なので積極的に行うとよいでしょう。滞ったリンパを流して指の部分の炎症を鎮め、痛みを軽減し、歩行バランスの不具合を整えるなどが期待できます。痛みと苦痛をあきらめないでチャレンジしてみてください。 <第40号>